学生戦争 第4話 終戦! ~平和の笑顔~
2010/09/01 22:53:04
やっと、最終話です。
お付き合いありがとうございました。
お付き合いありがとうございました。
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10)
教室に戻ると、授業は終わり、すでに給食が配られていた。
そして机の上には―
「ハー○ンダッツだ・・・!」
本当に千湖の言った通り、高級アイスクリームが一人一つずつ置かれていたのだ。
でも、待て。
オレたちの求めていた、余りの一つは・・・?
オレは、教卓に置かれたダッツの入っていた袋を手に取る。
しかし、なかった。
間に合わなかった・・・?
周りを慌てて見渡すが、どこの席にも二つは置いていないし、クラスメイトも持っていない。
これは、一体・・・!?
その答えは後ろから聞こえた。
しかもそれは、予想もしてなかったことだった。
「ないねん。 元からな」
そう言ったのは、千湖だ。
ない・・・? 嘘だろ?
「どういうことよっ!?」
信じることのできない火凛が、千湖に叫ぶ。
「言葉の通りや・・・。 ウチの学校は知っての通り、貧乏校や。 それが奮発するねん。 無駄な分を買うわけないってことや・・・」
「そんな・・・」
火凛は唖然としてその場で立ちすくむ。
マジかよ・・・。
じゃあ、オレたちが今までしてきたことは無駄だったのか・・・?
必死で教室を飛び出し、ライバルたちの妨害を乗り越え、室長まで倒したんだぜ・・・?
それが何の意味も持たないのか?
「は、ははは・・・」
ダメだ、もう笑うしかねぇ・・・。
オレたちの戦争はこんなにもあっさりと終わっちまったのか・・・。
「いや、まだ終わってませんよ?」
「えっ?」
突然、オレの心の中を読んだかのような発言が後ろの廊下から聞こえた。
今日、何度目だろう。
後ろを振り向いて嫌な目にあったのは・・・。
そこには、横に細い眼鏡をかけた長い髪の女性が、神のような優しい微笑みを浮かべていた。
しかし、どこか黒いオーラが・・・。
「こ、校長先生・・・?」
「ふふ♪ 天野くん、佐東さん、神美さんに望月さんたち、それに夏鳥くん、果集院さん。 みんな、校長室行きでーす♪」
やっぱりこういうオチは、しっかりなんだな・・・。
てか、なんで楽しそうなんだよ、この人・・・。
ふ、ふふふふふふ・・・。
「不幸だぁぁぁぁ!!」
オレの心の奥の叫びが、校内中を駆け回る。
これが、オレたちの戦争の終了宣言となった――。
--------------
11)
全てが終わった。
オレたちのイレギュラーな一日が。
長い長い校長先生の話を聞いているうちにダッツは溶けて、もはや甘い汁と化していた・・・。
現実では、やりたい放題ってのはできないな・・・。
やっぱり幻想の世界が一番だと思う。
オレはそんなことを考えながら、リンゴのように赤い夕日の中を火凛と一緒に帰っていた。
「はぁ・・・。 残念だったなぁ、ダッツ・・・」
火凛は頭の上で腕を組み、ため息ながらに言う。
「まぁ、しょうがねぇよ。 高級アイスが出る時点ですげぇことなんだからさ」
「でもさぁ・・・」
オレはなだめるように言ったけど、やっぱり火凛はどこか不満げだ。
というオレも、満足はしてない。
あんなオチ、あってたまるか。
でも、何だろなぁ。
不思議に気分がいいんだよな。
そう思ったとき、ふいに今日のことが一気に蘇る。
火凛の作戦で教室を抜けたこと。
火凛の一撃で蓮治から助かったこと。
火凛に手を引かれたこと。
・・・んっ?
今日思ったら、なんか火凛に助けられてばっかりじゃねぇか・・・?
しょうがないな・・・。
「なぁ、火凛」
「何よ?」
「あ、ありがとうな。 いろいろ・・・」
うわぁ・・・、思いきってストレートに言っちまったよぉ!!
今のオレ、臭せぇ・・・。
それを聴いた火凛の顔は、みるみる夕日と同じぐらい赤くなる。
「べ、別に、アンタのためにやったわけじゃないしっ!! ダッツのためだし! それに・・・」
「それに?」
火凛は怒ったかと思うと、今度は小さくなってしまった。
本当に忙しいヤツだな、コイツは・・・。
しばらくの沈黙が続く。
・・・。
・・・ ・・・。
「早く言えよ・・・」
「せ、急かすなっ! その・・・!」
さすがに長いから思いきって沈黙を破ってみた。
そしたら、火凛から意外な言葉が返ってきたんだ・・・。
「その・・・、中庭でのアンタ、かっこ・・・よかったよ。 うん・・・」
火凛はオレと目線を反らし、頬をかきながら言う。
・・・マジかよ?
あの火凛が人を褒めてる!?
まさかコイツ・・・。
「熱でもあるのか・・・?」
「ないわよっ!!」
そこまで怒る必要ねぇだろ・・・。
オレは、はぁ・・・、と深いため息を付く。
それにしても、今日はなんだかんだで充実した一日だったかもな。
たまには現実も悪くない、か。
それに今日の火凛はなんだか、よかったしな。
そう、なんだか・・・。
何だろう。 そう考えると胸の鼓動が速くなり始めた。
戦争は終わったのに・・・。
「どうした、明斗?」
「!?」
火凛に何気なく声をかけられただけで、なんでこんなにビビってんだよ!?
・・・もしかして、か。
オレは火凛が嫌いだ。
コイツと一緒にいたら命がいくつあっても足りねぇ。
でも・・・。
「なぁ、火凛?」
「何?」
「その――。」
戦争の後の夕日の下で、
彼女は平和な笑顔を見せた――。
教室に戻ると、授業は終わり、すでに給食が配られていた。
そして机の上には―
「ハー○ンダッツだ・・・!」
本当に千湖の言った通り、高級アイスクリームが一人一つずつ置かれていたのだ。
でも、待て。
オレたちの求めていた、余りの一つは・・・?
オレは、教卓に置かれたダッツの入っていた袋を手に取る。
しかし、なかった。
間に合わなかった・・・?
周りを慌てて見渡すが、どこの席にも二つは置いていないし、クラスメイトも持っていない。
これは、一体・・・!?
その答えは後ろから聞こえた。
しかもそれは、予想もしてなかったことだった。
「ないねん。 元からな」
そう言ったのは、千湖だ。
ない・・・? 嘘だろ?
「どういうことよっ!?」
信じることのできない火凛が、千湖に叫ぶ。
「言葉の通りや・・・。 ウチの学校は知っての通り、貧乏校や。 それが奮発するねん。 無駄な分を買うわけないってことや・・・」
「そんな・・・」
火凛は唖然としてその場で立ちすくむ。
マジかよ・・・。
じゃあ、オレたちが今までしてきたことは無駄だったのか・・・?
必死で教室を飛び出し、ライバルたちの妨害を乗り越え、室長まで倒したんだぜ・・・?
それが何の意味も持たないのか?
「は、ははは・・・」
ダメだ、もう笑うしかねぇ・・・。
オレたちの戦争はこんなにもあっさりと終わっちまったのか・・・。
「いや、まだ終わってませんよ?」
「えっ?」
突然、オレの心の中を読んだかのような発言が後ろの廊下から聞こえた。
今日、何度目だろう。
後ろを振り向いて嫌な目にあったのは・・・。
そこには、横に細い眼鏡をかけた長い髪の女性が、神のような優しい微笑みを浮かべていた。
しかし、どこか黒いオーラが・・・。
「こ、校長先生・・・?」
「ふふ♪ 天野くん、佐東さん、神美さんに望月さんたち、それに夏鳥くん、果集院さん。 みんな、校長室行きでーす♪」
やっぱりこういうオチは、しっかりなんだな・・・。
てか、なんで楽しそうなんだよ、この人・・・。
ふ、ふふふふふふ・・・。
「不幸だぁぁぁぁ!!」
オレの心の奥の叫びが、校内中を駆け回る。
これが、オレたちの戦争の終了宣言となった――。
--------------
11)
全てが終わった。
オレたちのイレギュラーな一日が。
長い長い校長先生の話を聞いているうちにダッツは溶けて、もはや甘い汁と化していた・・・。
現実では、やりたい放題ってのはできないな・・・。
やっぱり幻想の世界が一番だと思う。
オレはそんなことを考えながら、リンゴのように赤い夕日の中を火凛と一緒に帰っていた。
「はぁ・・・。 残念だったなぁ、ダッツ・・・」
火凛は頭の上で腕を組み、ため息ながらに言う。
「まぁ、しょうがねぇよ。 高級アイスが出る時点ですげぇことなんだからさ」
「でもさぁ・・・」
オレはなだめるように言ったけど、やっぱり火凛はどこか不満げだ。
というオレも、満足はしてない。
あんなオチ、あってたまるか。
でも、何だろなぁ。
不思議に気分がいいんだよな。
そう思ったとき、ふいに今日のことが一気に蘇る。
火凛の作戦で教室を抜けたこと。
火凛の一撃で蓮治から助かったこと。
火凛に手を引かれたこと。
・・・んっ?
今日思ったら、なんか火凛に助けられてばっかりじゃねぇか・・・?
しょうがないな・・・。
「なぁ、火凛」
「何よ?」
「あ、ありがとうな。 いろいろ・・・」
うわぁ・・・、思いきってストレートに言っちまったよぉ!!
今のオレ、臭せぇ・・・。
それを聴いた火凛の顔は、みるみる夕日と同じぐらい赤くなる。
「べ、別に、アンタのためにやったわけじゃないしっ!! ダッツのためだし! それに・・・」
「それに?」
火凛は怒ったかと思うと、今度は小さくなってしまった。
本当に忙しいヤツだな、コイツは・・・。
しばらくの沈黙が続く。
・・・。
・・・ ・・・。
「早く言えよ・・・」
「せ、急かすなっ! その・・・!」
さすがに長いから思いきって沈黙を破ってみた。
そしたら、火凛から意外な言葉が返ってきたんだ・・・。
「その・・・、中庭でのアンタ、かっこ・・・よかったよ。 うん・・・」
火凛はオレと目線を反らし、頬をかきながら言う。
・・・マジかよ?
あの火凛が人を褒めてる!?
まさかコイツ・・・。
「熱でもあるのか・・・?」
「ないわよっ!!」
そこまで怒る必要ねぇだろ・・・。
オレは、はぁ・・・、と深いため息を付く。
それにしても、今日はなんだかんだで充実した一日だったかもな。
たまには現実も悪くない、か。
それに今日の火凛はなんだか、よかったしな。
そう、なんだか・・・。
何だろう。 そう考えると胸の鼓動が速くなり始めた。
戦争は終わったのに・・・。
「どうした、明斗?」
「!?」
火凛に何気なく声をかけられただけで、なんでこんなにビビってんだよ!?
・・・もしかして、か。
オレは火凛が嫌いだ。
コイツと一緒にいたら命がいくつあっても足りねぇ。
でも・・・。
「なぁ、火凛?」
「何?」
「その――。」
戦争の後の夕日の下で、
彼女は平和な笑顔を見せた――。
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