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Soul・Link 第一話 プロト版 変更抽出。

大きく変更するところのみ抽出。

「ん・・・? 何か聞こえない・・・?」

 雅がふと、何かに気がついた。

 ソウルとリタも耳を澄ますと、なにやら外から多くの人が、がやがやと騒ぐような声が・・・。

「何でしょうか・・・?」

 リタが不安げに言った。

 それに雅が立ち上がり、今にも飛び出しそうな勢いで、

「もしかしたら、今回の件に関係あるのかもしれないよ!?」

 そう言って玄関に走りだしたので、ソウルはすかさず雅の後ろ髪をつかむ。

 雅は小さく、ふにゃ! と、声を出しで足を止めた。

「何するんだよ!」

 雅は口を膨らまし、腕をバタバタしながら兄に叫んだ。

 ソウルは、ハァ・・・、とため息をついてから、雅の髪を放し、面倒くさそうに言う。

「あのなぁ・・・。 一人でどこ行く気だよ? お前一人で何かできるのか?」

「えと・・・」

「やっぱり、何も考えてなかったのな・・・」

 兄の言葉に図星だった雅は苦笑い。

 それを見たソウルはまた面倒くさそうに、

「わかったよ・・・。 一緒に行ってやるから・・・」

 そう言って椅子から立ち上がり、帽子を深く被る。

 リタも 待ってください! と言いながら、慌てて立った。

 そして、

 「とりあえず、広場に行きましょう。 きっと何かあったんですよ」

 リタはそう言うと、三人は外へと駆けていく。

 商業と宗教の街は不穏な空気が漂っていた―。


7)

 街の広場は教会の正面にある。

 広い広場の中心には、人間が一人乗れるほどの演説用の台が置いてあった。

 その周りには人だかりができていたが、台には誰も乗っていない。

 教会のほうにも、様子がおかしいことに気づいた者が大きな波をつくっていた。

 ソウルと雅、リタの三人は広場の手前で立ちすくんでいた。

「うわっ。 こりゃ、すげぇな・・・」

「これじゃ見えないですね・・・」

 ソウルとリタは、はぁ・・・っと深いため息をつく。

 そんな落ち込む兄の袖を雅がギュッと引っ張った。

「ソウル、肩車」

 それがあったか、とソウルがポンと合いの手を打って、
なんのためらいもなく妹を肩に乗せる。

 そういうところが兄妹らしい とリタは思った。

「よし! 雅、何か見えるか?」

「んー、教会のほうにまで人が集まってるだけだね。 中は扉が閉まっててわからないよ」

 雅がそう言ったのを聴くとと、リタは少し暗い顔をしてつぶやく。

「インデックスさんはどうしたんでしょうか・・・」

「いんでっくす? なんかの目次か何かか?」

 リタのつぶやきに気づいたソウルは、彼女に問いかける。

 それにリタは、ああ・・・、とつぶやいてから、

「ここの教会のトップシスターさんは最年少の女の子なんです。
『禁書目録(インデックス)』と名乗っています」

 と、すらすらソウルの質問に答えた。

 それを聴いたソウルは少しうさん臭そうな顔で感想を述べる。

「禁書の目録(インデックス)ねぇ・・・・。 思いっきり偽名じゃねぇか・・・」

 ソウルがそう言った瞬間だった。


 ドゴォォォォンッ・・・!!


 教会の中から何かが爆発した音し、正面の大きな扉の隙間からモクモクと
黒い煙が溢れ出したのだ。

 黒い煙は広場をみるみる飲み込んでゆく。

「な、何でしょうか・・・!?」

 リタが不安な声で言う。

 周りの人々は悲鳴をあげながら、教会から一斉に離れていく。

 それは人の大波となり、三人を押し流そうとする。

「くっ・・・! なんだってんだよ! とりあえず、雅降りろ!」

 ソウルは雅を下ろし、揺らめく人波に逆らうように走り出した。

 雅をすかさず兄の背中を追う。

「ちょっと二人共、どこ行くんですか!?」

 リタも慌てて走り出した。

 荒れる大波の中は、少しでも気を抜けば押し流されそうになる。

 三人はなんとか掻き分けて、教会のトビラの前までたどり着く。

 すでに煙はもう引いていた。

 見上げるほどの大きな白い扉には、4本足の魔物のような生き物が描かれている。

 多分、これが神様というものだろう。

「ふ、二人共・・・、は、早すぎます・・・」

 リタはその場でしゃがみこみ、ハァハァ・・・、と荒い息を吐く。

 雅は、大丈夫・・・? と、リタを心配しながら言った。

「さっきの爆発と煙は多分、炎を魔術によるものだよ」

「ど、どうしてわかるんです・・・?」

 リタは少し呼吸を整えて問う。

 それにソウルがさらっと、

「雅は、マナの流れを感じれんだよ。 多分、中で何かあったんだろうな・・・」

 そう答えて、さらに扉を見上げて続ける。

「さて、コレをどう開けるもんかね・・・」

 白く光る扉は押してもビクともしなかった。

 中でしっかり鍵がかけられているようで、さらに頑丈なため強行でも無理そうだ。

 普通ならば―。

「二人共、どいてください・・・」

 リタは立ち上がり、扉の前で拳を構えた。

 その表情はさっきまでの穏やかな顔とは違う。

 眼は鋭く、身体からは何やらオーラのようなものが出ているように兄妹は感じた・・・。

「ま、まさか・・・」

 兄妹が慌ててリタの後ろに下がる。

 そして―。

「チェストォォォォ!!」


 ドゴォォォォ!!


 リタは男性のような勇ましい掛け声とともに拳を振り、巨大な扉をバラバラに砕いたのだ。

 フッ・・・! と、リタは拳についた手を息で吹き払い、後ろを向く。

「行きましょう!」

 しかし、兄妹は唖然とし、その場で ははは・・・、と笑うしかなかった。



8) 教会を正面から中に入るとそこは、だだっ広い礼拝堂だ。

 いくつもの木製の長椅子がならんでいて、白い壁と床が、天窓からの光でより白く輝いている。

 礼拝堂の奥の中央には白い神の石像があり、部屋の両端には上へ続く階段がある。

 その石像の前に、黒服の人が二人見えた。
 
 片方は修道女。

 片方はフードを被っていて顔は見えないが、男のようだ。

 両者共に、先に青い水晶がついた木の杖を構えて、修道女は身体から紅い血がにじみ出ていた。

 黒フードの男は不気味に修道女に話しかける。

「貴様、聖地は何処にある・・・?」

「知りません! それよりもトップシスターを何処につれていったのですか!」

 修道女は男の問いに首を横に振り、叫び返した。

 男はそれを聴いて、フッ・・・、と鼻を鳴らし、

「嘘をつかないほうがいいぞ・・・。 あの女がどうなっても知らないぞ・・・?」

 そう言って、杖を修道女に向ける。

 フードの男の足元に赤い魔法陣が描かれ、そこから赤い光が放たれた。

 そして、男は不気味につぶやく。

「黒き炎よ・・・。 クロノフレイム!」

 杖から黒い炎の玉が出現し、修道女を目掛けて飛ぶ。


 ズドォォォン!!


 炎は爆発を起こし、その衝撃で周りのあらゆる物を吹き飛ばした。

 礼拝堂を視界をさえぎるほどのホコリの霧が包む。

 修道女も吹き飛ばされる・・・はずだった。

「何・・・?」

 ホコリの霧が晴れると、そこには一人の赤帽子の少年が修道女の前で二本の剣を構えていた。

 左手に赤い剣。

 右には黒い剣。

「ったく・・・。 いきなり戦闘って、ついてないっての!」

 少年がそう言うと、後ろを向いて修道女に話しかける。
 
「あんた、大丈夫か!?」

「ええ・・・。 貴方は・・・?」

「通りすがりの旅人だよっ!」

 修道女が問い返すと、少年はそう答えた。

 修道女が扉を方を向くと、扉はいつの間にか粉々に砕かれていて、そこからさらに二人の少女が駆けてくる。

 緑の髪の少女は赤帽子の少年の下に。

 ブラウンの髪の少女は修道女のそばに駆け寄る。

 緑の髪の少女は少年に声をかける。

「ソウル!」

「雅! 一気にたたみかけるぞ!」

 少年が緑髪の少女に合図すると、少女は先に竜のような装飾がついた杖を取り出す。

 緑髪の少女は杖を構え、魔術の詠唱をつぶやくと、足元に緑の魔法陣が描かれていく。

「風よ、切り刻め・・・!」

 赤帽子の少年は、緑髪の少女がつぶやき終わると同時に左の剣を振るった。

 そして二人は同時に叫ぶ。

「リンク奥義! 絶風刃!!」

 少年の剣から風の刃が発生し、礼拝堂の白い床を切り裂きながら、ものすごい速さで黒フードの男に襲い掛かる。

 「う、うわぁぁぁぁ!?」

 男はとっさに右に転がり、風の刃をかわした。


 ズドォォォォォ!!


 風の刃は神の石像に直撃し、像は真っ二つに崩れ落ちる。

 「チッ! 外したか!」

 少年は悔しそうに舌打ちし、男を見つめる。

 男はふらふらしながら立ち上がり、階段へと走りだした。

「さ、サバタ様に報告だっ・・・!」

「あっ、待て!」

 慌てて雅も男を追って階段のほうに向かうが、少年がすばやく緑髪の少女の手をつかむ。

「ちょっと、早く追わないと!」

「先にやることあるだろが!」

 少年はあせる少女を抑え、後ろを指差す。

 そこにはブラウンの髪の少女が傷ついた修道女を手当てしていた。

「まずはこの人の安全の確保が先だ!」

 少年はそう言うと修道女の元に走り出す。

 少女も首を縦に振り、少年の後を追った。



9)

 ソウル、雅、リタの三人は、教会の中で一人の修道女に出会った。

 彼女は黒のフードを被った男に襲われ、身体中傷だらけで黒の修道服は紅い血で染まっている。

 三人は修道女を寝かせ、手当てをしているところだ。

 ソウルは修道女の腹部に手を当て、魔術の詠唱を唱える。

「聖なる活力、来なっ! ファーストエイド!」

 修道女はまばゆい光に包まれた。

 すると、彼女の傷口が少しふさがったのだ。

「驚きました。 治癒術が使えるなんて・・・」

 リタが眼を丸くしてソウルに言う。

「まぁな。 簡単なものしかないけどな」

 ソウルは女性の顔色をうかがいながら答えた。

 女性は少しずつだが穏やかな顔になっていくのがわかる。

「あ、ありがとうございます・・・。 助かりました・・・」

 修道女はそう言うとゆっくりと起き上がった。

「痛っ・・・!」

「ああ、ダメだよ! まだ起き上がっちゃ!」

 雅は苦痛で顔を歪む修道女を落ち着かせ、再びゆっくりと床に寝かす。

「この術はあくまでも応急処置の術だからな。 無理すんな」

 ソウルはさらっと処置について説明し、さらに続ける。

「何があったんだ?」

 修道女は、ああ・・・、とつぶやいてからその質問に答えた。

「突然、黒服を着た人たちが侵入してきたんです・・・。 『聖地』がなんとか言ってました・・・。 他の修道士たちは無事に非難したんですけど・・・」

「『聖地』?」

 ソウルは疑問を口にする。

 その疑問をリタが解く。

「聖地とは、このウィティアに八つあると言われる聖なる場所のことです。
そこには万物の根源『マナ』で満たされていると言われています」

 あくまでも伝説ですけど・・・、とリタは付け足す。

 そして今度は、修道女に自らの疑問を尋ねた。
 
「そういえば、トップシスターはどうしたんですか?」

 修道女は少し暗い顔をして答える。

「トップシスターは、その人たちに抵抗したんです・・・。 そしたら、捕らえられてしまって・・・」

「それでアンタは一人で助けに来たんだな?」

 ソウルが修道女の言葉を先読みして言うと、彼女は申し訳なさそうに、はい・・・、と言った。

 修道女もリタも、トップシスターのことを心配している。

 たとえ、危険とわかっていても。

 たとえ、自らが傷つく結果になっても。

 それほどこの教会の、いやこの街にとって大切な存在なのだ。

 その少女は。

 ソウルは少し微笑み、そして修道女に言った。

「オレたちに任せろ。 トップシスターは必ず助ける。 絶対にな」
 
 だろ、雅? と、ソウルは後ろにいる雅に言い、雅はうなずく。

「ありがとう・・・」

 修道女は安心したようだ。

 そのまま深い眠りについた。

 ずっと緊張し、疲れがたまっていたようだ。

 さてと、とソウルは立ち上がって雅に言う。

「んじゃ、雅。 アイツらぶっ飛ばしにいきますか!」

 うん! と、明るく返事をして雅も立ち上がる。

「さっきの男が言うに、サバタって人がボスみたいだね」

 雅はさっき、修道女を襲っていた男の言葉を思い出す。

(サバタ・・・!? まさか・・・!?)

 リタは雅の言ったその名前にとても敏感に反応した。

「私も行きます! 二人だけじゃ危険です!」

 リタは慌てて立ち上がり、眼を丸くして言い、兄妹についていこうとする。

 しかし―。

「ダメだよっ!」

 雅がそれを止めようとした。

 雅は力強い眼差しでリタを見つめる。
 その眼はいつものかわいらしいものと違う。

 そのまっすぐな眼はリタの足を止めた。

 雅は力強く言う。

「今、誰かがこの人を安全な場所に連れて行かなきゃ、この人は死んじゃう。
この街に住んでるリタなら治療できる場所とかそういう場所、知ってるよね?!」

 でも・・・と、リタは後ずさる。

「大丈夫だ」

 ソウルが雅に続けて戸惑うリタに言った。

「大丈夫だ。 オレたち、こういうのは慣れてっから。 リタ、その人を頼むぜ?」

 ソウルは少し微笑んだ。
 彼の眼もまた、まっすぐな力強い眼をしていた。

 それを見たリタは、どこか懐かしい顔を思いだす。

 今はどこにいるかわからない、一人の少年を。

「・・・わかりました。 私、助けます! この人を。 二人も気をつけて」

 リタの眼差しも強くなった。

 それを見た兄妹は、深くうなずいた。

 兄妹とリボンの少女は背中を向け合い、走り出す。

 それぞれの目的に-。




補正点書き終わり。 以下の文も随時補正。 2010/04/06

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